沖縄県北部に位置する大宜味村では、昔から糸芭蕉を使った芭蕉布や芭蕉紙が作られています。
紙漉き体験に参加してきました。この紙を使って何をしようと想像を膨らませてしまいます。ランプシェードに使おうか、筆を執ってみようか。
ちゃんとできるかなぁ・・・
紙漉きの体験会。饒波の古民家です。先生が芭蕉紙について説明してくださいました。
バショウ科の多年草である芭蕉には、実芭蕉(バナナ)、花芭蕉、糸芭蕉があります。糸芭蕉の繊維を使って漉いた紙は、よく見る和紙とも違う、深みのある高級紙。
事前準備はなく、すでにこの状態で用意されている染色なしの芭蕉の繊維を触るところから始まります。繊維を少しずつ手に取って、水の入った大きな入れ物の中で溶かしていきます。
触った感じは繊維というより「とろん、ぬるん」としたやわらかい感じです。繊維を水の中に溶いているときの触り心地がとろんとして、なんとも言えず心地いい。
手すき舟(木枠)で漉いていきます。
※「すでに用意されていた芭蕉の繊維」を作る過程がとても興味深いので、改めて取材したいと思います!
「紙漉き体験は楽しい!わくわく!良いとこどり!」の行程です。
すくったら、水を切ります。ケースのふちに角を乗せて斜めに持つと水が落ちていきます。大きな水滴がきれい。ぽたぽたと落ちる水滴が、徐々に小さくなっていきます。
すき舟をひっくり返して木板に貼り付けて、水分をスポンジで吸っていきます。優しく、スポンジに水を吸わせて、容器に絞っていきます。スポンジもねじらず優しく絞ってね。
木枠の片方を、板に押し付けて、逆側をそおっと持ち上げると、水分がきちんと取れていれば板に紙がきれいに残ります。左の写真は、漉いたときに繊維が少なすぎた失敗例。板を洗い流して再度紙漉きからチャレンジしました。 右はちゃんとできたときの例です。空気を抜くために、スポンジローラーでゆっくり空気の泡を押し出します。
体験では、紙を漉いて、水を切って板に貼り付けるだけですが、バランスを取ったり、水を切る作業も初心者には一苦労。板を壁に立てかけたらその日は終わりです。乾燥する日数は季節や天候によって変わるそうですが、2~3日。晴天で乾燥した日が続くようであれば、1日で乾くこともあるそうです。絶妙なタイミングが大事だそうで、この時期はタイミングがよかったので、3日後に再訪問しました。
A4サイズを2枚ずつ板に貼り付けてから、3日後。はがす行程です。寸胴な瓶をやさしく擦り付けて「なめす」ことで、ざらざらした手触りから、ふっと手触りが良くなります。ざらざら感を残すも良し、滑らかにしてはがすも良し。複数枚あれば、それぞれの違いを楽しむこともできそうですね。
まっすぐ、寸胴な瓶が便利だそうです!ざらざらがなくなったら、紙と板のすき間に、安全ピンをそっと滑らせて、紙を板からはがします。
完成です!いや、これはなかなか貴重な体験でした。またやりたい♪
一日だけしか体験できない旅行者や遠方にお住いの方は、後日、先生が剥がして郵送してくれるオプションもあるみたいです。
体験会で作った芭蕉紙は、何に使おうか考えるだけでワクワクします。
カレンダーにして、使い終わったら、もったいないから、切って折ってバラのコサージュにしてもよし。(これはまた素晴らしいアイディアだわ!)
加工せずに、ランプシェードとしてロマンチックな装いに使うもよし。沖縄旅行中に撮影した絶景や夜景を印刷することもできるようですよ。
写真プリントは、大型複合機が適しているようです。
A4サイズ、はがきサイズ、メッセージカードサイズ(名刺サイズ)といろいろ作ってみてもいいですね。
芭蕉紙の紙漉きが、沖縄の文化継承として続いていくことを心から願っています。
【芭蕉布】については、大宜味村喜如嘉(きじょか)に、村立の芭蕉布会館が残されています。
芭蕉布会館の1階では芭蕉布で作られた作品の展示や販売、資料が並び、芭蕉布を織る行程を動画で見せてくれます。2階では芭蕉布制作の作業の様子を見学することができますので、是非一度、足を運んでみてください。